淡々としている日常に幸せがある@となりのコーヒー屋

児童養護施設で育った私が山あり谷ありの「外の世界」をどう過ごしているかを共有するブログです

コーヒー選びのヒント 〜 コーヒーの苦味と酸味

コーヒーの酸味と苦味について少々。

 
コーヒー屋をやっていますと、良くご質問いただくのが
 
「酸味の少ない(酸っぱくない)コーヒーはどれですか?」
「苦くないコーヒーがいいんですが」
 
もしくは、
 
「酸味も苦味も苦手で…」
 
というものです。
とりわけコーヒー好きの方でも酸味が苦手とおっしゃる方が多いように思います。
 
コーヒーの味は大きく分けると「苦味」「酸味」「甘味」の3つあります。
 
「この3つだと、どれですか?」とお伺いすると、「甘い味わいのコーヒーが良い」と答えをいただきます。
苦いだけ、酸っぱいだけのコーヒーを好む人は少数だと思います。ぼくもそんなコーヒーは飲みたくありません。
 
ただ残念ながら「甘味」だけに特化したコーヒーというのはありません。
どんなコーヒーでも「苦味」「酸味」「甘味」の3つの要素は必ず含まれています。
(もう少しつっこむと、コーヒーの甘味は実際の糖質の甘さではなく、口から鼻に抜ける香り、つまりフレーバーから感じるものなのですが、そのお話はまた別の機会に)
 
さて、ここにあなたにぴったりのコーヒーを選ぶヒントが隠れています。
 
例えば、うちでいうとやや深めに焙煎した苦味のブラジルも、結構浅めに焙煎した酸味のルワンダ
甘い味わいのコーヒーなんです。
 
ブラジルはナッツやダークチョコレートのような甘味がありますし、
ルワンダはライチやすもものようなフルーツの甘味があります。
 
なので、苦味から来る甘さなのか、酸味から来る甘さなのか、どちらの方がより好みかを
知っていただくと、コーヒーがよりおいしく、選びやすくなると思います。
 
ビールで言うと、しっかり苦味がありながらも、焦がしキャラメルのような深いコクと甘味のあるスタウトビールなのか、
フルーティな甘さと酸味も楽しめるヴァイツェンなのか、といったところです。
料理で言うと、酢豚の酸味と甘味のハーモニーなのか、ゴーヤチャンプルの苦味と甘味のハーモニーなのか、といったところ。
 
ただ、これらの風味特性がしっかり感じられるのは、あくまでも鮮度が守られていることが大前提です。
いくら高級なワインでも、栓を開けて数週間たてばイガイガしたえぐみやきつい酸味が出てきますよね。
コーヒーも同じで、焙煎してから数週間たてば、ガスと一緒に香味成分が抜け、豆に含まれる油分が酸性化して
酸っぱいだけのコーヒーや苦くてえぐみのあるコーヒーになります。
 
ワインはおいしいうちに栓を開けたら「すぐ飲もう」となりますが、
コーヒーに関してはまだまだ鮮度の良いうちに楽しもうという認識が広まっていません。
なので、いつ焙煎されたかも明記されていない酸っぱくなってしまったコーヒーや苦味とえぐみが混在したコーヒーがそれなりのパッケージを施され市場に出回っているのも事実です。
 
コーヒーの酸味が苦手な方は、「腐敗からくる酸味(とがった酸っぱさ)」とコーヒーが本来持つ「フルーティな酸味(まろやかな甘酸っぱさ)」を一緒に考えている可能性もあります。
ぼくもコーヒーを飲みたての頃はそうでした。
 
焙煎したてのコーヒーであれば、前者の「腐敗からくる酸味(とがった酸っぱさ)」はありません。
英語圏でも、風味特性から来る「Acidity (酸味)」、焙煎後の劣化から来る「sour (酸っぱい)」という風にコーヒーの酸味を表現する言葉が分かれています。
 
焙煎度合いにもよりますが、豆の状態で焙煎から2〜3週間ほど経つとコーヒーのオイル分が酸性化(腐敗)してきます。
その頃にはコーヒー豆から香味成分もほとんど抜けきっているので、たとえどんな銘柄のコーヒーであろうと本来の味を楽しむことはできません。
 
ぜひ、色んなコーヒーを試していただき、「苦味」「酸味」「甘味」のベストハーモニーを見つけてください。

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